ソーラーシェアリング

ソーラーシェアリングって?

「ソーラーシェアリング」とは、農地の上に背の高い架台と太陽光パネルを設置して行う太陽光発電です。
太陽光パネルを一定の間隔をあけて設置することで、作物に必要な日射を確保し営農への影響を極力小さくしながら、1つの土地で農業と発電事業を両立することができます。
農地を守りながら農業収入を得ることに加え、発電した電気も電力会社に売ることで売電収入を得る、新しい農業の形、それがソーラーシェアリングです。

ソーラーシェアリングの普及を促進する動きも

農地転用期間が条件つきで、3年から10年に延長
ソーラーシェアリングの普及を促進するための措置として、農林水産省は2018年5月15日に、農地転用許可制度の取り扱い見直しを発表しました。当初の転用期間は3年以内であり、以降は営農に問題が無ければ再許可するという仕組みでしたが、規制緩和によって一定の条件を満たす場合には、10年に延長することが可能となりました。
転用期間延長の条件は以下の条件のうち、いずれか1つに当てはまる場合に、転用期間を3年から10年へ延長することができます。
・担い手が所有している農地又は利用権などを設定している農地で、当該担い手が株農地で営農を行う場合。
・農用地区域内を含め荒廃農地を活用する場合。
・農用地区域以外の第2種農地又は第3種農地を活用する場合。
これにより、ますます全国にソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)が広まるきっかけになってきています。

ソーラーシェアリングのメリット

農業との二重収益構造

新たに土地を取得する必要がなく、プラスアルファの収入を見込むことができます。

土地の固定資産税が高くならない

農業を行いながら発電を行うため、一時転用を行いますが地目は農地のままなので固定資産税が抑えられます。

発電量が多い

農作物を生育する農用地はもともと日当たりが良く発電効率が良いことに加え、広大なスペースにたくさんの太陽光パネルを設置できるため、安定した発電量を確保することができます。

夏場の作業環境の大幅改善による作業効率アップ

パネルによる影が生まれ作業時の体感温度が大きく改善され、農作業の過酷さが大きく改善。さらには、日照り災害の防止や灌漑用水を節約し、融雪を早める効果さえあります。

アウターブランディング価値向上での差別化

環境にやさしい農家としてイメージ向上につながる。

ソーラーシェアリングのデメリット

20年間の継続的な営農が必須

ソーラーシェアリングは20年間の農業継続が前提条件です。

金融機関の融資がおりにくい

ソーラーシェアリングは一般的に他の太陽光発電と比べ、銀行からの融資がつきにくい傾向にあります。

毎年、農作物の収穫状況報告が必要になる

ソーラーシェアリングを運用する場合、毎年、収穫状況の報告をする必要があります。

設備に関する費用が高額になる

通常の野立ての太陽光発電に比べ高い位置に架台を設置するため、その分の費用が上乗せされます。

一時転用のリスク

農地の一時転用が必須になります。「収穫量が同地域の平均の8割以下」「営農が行われていない」「農作業に必要な機械等が使えない」といった状況が確認された場合、農業ができる状態まで原状回復しなければなりません。

日本の農業事情

農家の高齢化と減少

後継者不足

耕作放棄地の増加

農地面積の減少

収入の減少

食料自給率の低さ

そしてそのどれもが農家さんの生活を脅かし、農業の衰退を加速させる 深刻な問題ばかりです。ソーラーシェアリングが認められた2013年以降も、これら農業の問題は増大し続けています。
ソーラーシェアリングはその誕生から年月が経ち、安定した売電収入による収入の増加や後継者の確保、耕作放棄地の解消、農地の保全といった面で一定の成果を挙げています。
ソーラーシェアリングの利点が見える形で現れ始め、浸透してきていることが今、急速に増加している要因の1つです。

農業就業人口からみる減少

全国の農業就業人口は、平成12年(2000年)には約389万人だったのに対し、平成31年(2019年)になると約168万人と、およそ43%にまで縮小しています。わずか20年足らずで半減していることは、かなり大きな社会的変化といえます。

営農型太陽光発電に関する統計情報

新たに農地の一時転用許可を受けた件数の推移をみると、毎年、増加傾向で推移してきましたが平成29 年度には前年度比で減少。一方、平成30年度は再度増加し、過去最高の481件の許可が行われました。
※平成30年度末時点の各種集計情報です。